愛犬が雷を怖がり隠れてしまった、パニックを起こしたという経験はありませんか?また、同じように花火に対しても恐怖心をもつことがありますよね。その原因は強い光と大きな音だけではありません。本記事では雷や花火を怖がる理由、その際に愛犬が見せる様々な行動、対処法について解説します。
犬が雷や花火を怖がる理由とは?
犬が雷や花火を怖がる5つの理由について説明します。
🐾慣れない強い光や大きな音
自然界の中で、最も大きな音は雷の音と言われています。至近距離での落雷は140デシベルにも達し、耳が痛くなる程の危険な音量です。人間も恐怖を覚える雷ですが、聴覚が優れている犬にとっては、より一層強く感じます。
頻繁に強く光る空や、跳ね返るような豪雨の中で炸裂する強烈な音は、雷を理解していない犬にとっては命を脅かすような危険を感じていることでしょう。また、同じ理由で花火も怖がっていると考えられます。
🐾気圧の変化による体調不良
気候の悪化に伴って気圧が変化します。その気圧の変化が原因で倦怠感(けんたいかん)やむくみ、頭痛、めまい、不安感などの症状が出ていると考えられます。時には体に痛みが出ることもあり、特にてんかん発作の持病を持つ犬やシニア犬は、気圧変化の影響を受けやすい傾向があります。
🐾トラウマ
犬もトラウマを抱えることが分かっています。落雷による停電で真っ暗な中、雷が鳴り響いていたなど、過去の経験からトラウマを持ち、恐怖を感じているかもしれません。さらに花火は火薬のニオイも強いため、記憶に残りやすいとも考えられます。
🐾飼い主さんが怖がるから
飼い主さんが雷を怖がって取り乱した姿を見せることで、不安を感じるようになります。急な停電で真っ暗になってしまうと飼い主さんが慌てるのも当然ですが、愛犬を不安にさせないよう、大きな声や慌てた声を出さずに落ち着いて対処しましょう。
🐾オゾン層のニオイ
犬は雷雨によるオゾンの独特なニオイを感じると言われています。人の何万倍もの嗅覚を持つ犬は、そのニオイを耐え難く感じているのではないかという説があります。
怖がっている犬が見せる行動
個体差もありますが、雷や花火に対し恐怖を感じると以下のような行動をとります。
- 逃げようとする
- 物陰に隠れて出てこなくなる
- 落ち着きなくウロウロと歩き回る
また、これらの行動とともに、さらに恐怖を感じると以下のような様子もみられます。
- 体を小刻みに震わせる
- しっぽが下がる
- よだれを垂らす
- 目を見開く
- 飼い主の声に反応しない
- 鳴いたり、吠えたりする
- 食欲不振を起こし、食べ物や水を口にしない
- 失禁
中には体調を崩し嘔吐、下痢、血便といった症状がみられる場合もあるようです。このように犬が雷に過剰な恐怖心を持つ症状を「雷恐怖症」と言います。
上記に挙げたように、怖がっている犬が見せる反応は多岐にわたります。よく観察して愛犬がこれらのサインを見せていないか、サインが現れていたらできる限り早く安心させてあげられるよう適切な対応をとりましょう。
恐怖でケガや病気を発症することも…
過度なパニックによって雷恐怖症のほかに、熱疲労(暑さによって体内の塩分と水分が一気に失われた状態)を発症することがあります。パニック時には飼い主に噛みついたり、自傷行為を起こしたりする恐れもあるため動物病院で相談をするとよいでしょう。
また、パニックになると思わぬ行動を起こすものです。雷に驚いて開いている扉や窓から屋外に飛び出してしまう、花火に驚き暴れたことによって首輪やリードが外れ、そのまま迷子になったり、交通事故に遭ったりするケースもありますので、万が一を考えて迷子札を付けるなど必要な対策を立てましょう。
愛犬が雷を怖がっている際の対処法
ここからは、愛犬を安心させるための具体的な方法を解説します。
🐾安全な場所につれて行く
夏場はゲリラ豪雨など突然の雷雨に見舞われることがありますので、お散歩の前には天気予報をチェックするようにしましょう。愛犬を室外で飼っている場合は、一時的に室内や玄関に入れたり、室内で飼っているならカーテンや窓を閉めたりして、なるべく雷の光や音を感じさせないようにします。
また、ケージやクレートに入ることを普段から生活の一部として慣れさせて、ここは自分にとって安心できる場所やテリトリーなのだと認識させておくと、スムーズに避難させられます。
慣れていない場合、無理にケージに入れようとすると余計に暴れる恐れもあります。ケージを嫌いになることも考えられますので、無理強いは絶対にやめましょう。
🐾飼い主さん自身が冷静な行動を
飼い主さんが雷によって動揺することが、何よりも愛犬をパニックにさせます。また、安心させようと過剰なスキンシップは愛犬が違和感を持ち、かえって不安にさせてしまうこともあるので、飼い主さんがいつも通りの行動をとることが大切です。
愛犬と花火大会に行きたい時はどうしたらいい?
夏の風物詩である花火大会は、人にとっては楽しいイベントでも、犬にとってはストレスになることもあります。愛犬と一緒に花火を楽しみたいところですが、遠くから眺めるのが賢明です。
それでも一緒に行きたいという場合には、人の多さや大きな音に慣れさせるトレーニングが必要です。人混みも大きな音もいきなりは逆効果となりますので、慌てず徐々に慣れさせるようにしましょう。
🐾人の多さに慣れさせる
人が多いことに驚き吠え続けたり、驚いて逃げてしまったりということがないように、普段のお散歩からトレーニングしていきましょう。いつものお散歩コースから、少し人の多い公園へ連れて行き、愛犬が人の多さに興奮しなくなったらさらに人の多い公園というように、愛犬に合わせてトレーニングしていくことが大切です。また、人の多い場所に行くときはペットカートなどを上手に使うとよいでしょう。
🐾音に慣れさせる
近年は室内飼いの犬も多いため、テレビの音や音楽など日常生活レベルの音量であれば慣れていることでしょう。また先述した人の多い公園などに連れて行くことで、ある程度の大きな音にも慣れていくでしょう。
さらに大きな音に慣れさせるためには、電車の走行音、工事現場の音といった騒音が聞こえる場所に行き、名前を呼んで飼い主さんの方を向くことができたらご褒美をあげるといったトレーニングをしてみましょう。肝心なのは、大きな音が近くでしていても怖いことではないと覚えさせることです。
しかし、人の多さや大きな音に対してどの程度まで慣れるかは犬ごとに個体差がありますので、上記のトレーニングで必ず慣れるとは言えません。不安を感じている行動が見られたら無理をしないということを頭に入れておきましょう。
愛犬の恐怖心を取り除くためには、
飼い主さんの冷静な行動が大切
このように犬が雷や花火を怖がる理由は様々です。犬は確かに大きな音に敏感な動物ですが、飼い主さんが正しい知識を持ち、落ち着いて行動することが愛犬を守ることに繋がります。雷や花火のシーズンに向けて対策をとり、愛犬との夏を楽しみましょう。