犬は犬同士だけではなく、人やぬいぐるみなどに対してもマウンティングを行うことがあります。マウンティングは発情期に限らず、来客時やドッグランなどでも見られ、トラブルの原因になるため止めさせるべき行動です。今回は、犬がどうしてマウンティングを行うのか、その理由と正しい止めさせ方をご紹介します。
マウンティングって何?どうしてするの?
マウンティングとは、本来は繁殖行動の際に行われるもので、オス犬が前脚でメス犬の腰や背中を抱え、腰を振る行為です。しかし、避妊や去勢をしているのに、ほかの犬に対してだけではなく、人や物に対してもマウンティングをしてしまい、困っているという方は多いはず。まずはマウンティングをする理由を解説します。
主従関係を示すため
元来、マウンティングは犬同士のコミュニケーション方法のひとつです。オス同士やほかの犬にマウンティングをする場合、自分の強さを主張し、主従関係を確認するためとされています。
これは人に対しても見られることがあります。犬は飼い主さん家族を自分の群と考え、「自分のほうが上だ」と感じると、それを主張するために家族の特定の人に対してマウンティングをすることがあります。
遊んでもらえると勘違いをしているため
マウンティングは成犬だけはなく子犬にも見られます。子犬が飼い主さんやほかの人に対してマウンティングをした際に、人が興奮した声を出したり、頭をなでたりすることで「遊んでもらえる」「褒められている」と勘違いをする場合があります。
興奮しているため
大好きな飼い主さんに遊んでもらえた時に、興奮する気持ちが抑えられなくなり、マウンティングをすることがあります。ぬいぐるみなどの物にマウンティングする場合もあり、楽しいと感じている時に見られます。犬の性格にもよるものの、一度楽しいと感じたことは繰り返しやすい傾向があります。
ストレス発散のため
犬も人間と同じようにストレスを感じます。「もっと散歩したい」「飼い主さんともっと遊びたい」「今は近づかないでほしい」などの欲求がストレスとなり、マウンティングにつながっている可能性があります。また、退屈を感じた時に周囲の物にマウンティングしやすくなることもあります。
支配欲・独占欲の表れ
愛犬のお気に入りのおもちゃを触ろうとした時にマウンティングが見られたら、それは「誰にも取られたくない」といった気持ち、つまり支配欲や独占欲があるのかもしれません。
止めさせよう!マウンティングはトラブルの原因に
例えば、ドッグランなどで愛犬がほかの犬にマウンティングをすることにより、怖がらせてしまったり、犬同士のケンカが始まったりします。犬同士で楽しい時間を過ごすためにも、マウンティングに対するしつけを行ってからドッグランへおでかけしましょう。
他者に危害を加える恐れがある
マウンティングの対象が人の場合、さらに深刻な問題になりかねません。散歩中やおでかけ先で人に飛びつき、服を汚したり、怪我を負わせてしまったりといった事故の原因になる可能性もあります。
疾患の原因になる恐れがある
マウンティングが癖になり、飛びつく際に後脚で全身を支えることで無理な体勢となり、腰や股関節に大きな負担がかかります。何度も繰り返すことで関節症やヘルニアの原因にもなりますので注意が必要です。
やってみよう!
マウンティングを止めさせる4つの方法
このように、デメリットだらけのマウンティングは必ず直すべき行動と言えます。コミュニケーション、愛情表現、ストレス解消のために愛犬が行ってきたマウンティングをできるだけ自然な形で止めさせるにはどうしたらいいのでしょうか。止めさせるための4つの方法をご紹介します。
マウンティング行動を無視する
先述したように、子犬の時に「マウンティングをすると遊んでもらえる、褒めてもらえる」と勘違いする場合があるため、子犬がマウンティングをしても大きな声を出したり、撫でたりせずに無視をしましょう。「遊んでもらえない、褒めてもらえない」と知ることでマウンティングをしなくなるでしょう。
マウンティング対象から引き離す
マウンティングが癖になっている場合、「させない」ということが大切ですので、対象となっている犬や物などから引き離します。散歩中やおでかけ先では、飛びかかることができないようにリードをしっかり持ち、長さを調整しましょう。対象がぬいぐるみやクッションなら、それらを見えないところに隠すのが有効です。
普段からストレスを発散させる
ただ止めさせるだけでは愛犬のストレスが溜まることになります。日頃から愛犬とコミュニケーションをしっかりとり、運動量を増やしたり、頭を使わせたりすることもひとつの方法です。
例えば、愛犬に刺激を与えるために時々散歩のルートを変更してみたり、週末に思い切りドッグランで走らせたりしましょう。ほかにも、自宅内でノーズワークをすることもおすすめです。
飼い主さんと愛犬の主従関係をはっきりさせる
犬は主従関係を意識しながら過ごしています。もし飼い主さんのことを自分よりも下だと捉えれば、言うことを聞かなくなったり、マウンティングで自分の優位性をアピールしたりすることも考えられます。
そのため、飼い主さんに主導権があることを、繰り返し意識付けすることが重要です。リードを引っ張らせない、おやつが欲しい・散歩に行きたいなどの欲求吠えに対して従わないなど、あくまで日々の生活のなかで理解させることが大切です。
マウンティングに関するよくある疑問
ここからは、犬のマウンティングに関して多く寄せられる疑問についてご紹介します。
男性より女性の方がマウンティングされやすい?
女性の方が優しく、何か悪いことをしても本気で怒られにくいものと認識している場合が多いことから、男性と比べて、女性はマウンティングされやすい傾向にあると考えられます。
小型犬の方がマウンティングをする?
マウンティングをするかどうかに体格や犬種は関係ありません。基本的には、ストレスや生育環境といった原因を疑うのが一般的です。
現代の犬にとってマウンティングは
百害あって一利なし
犬がマウンティングする背景には、様々な理由が存在します。しかし、そのまま放置すると、トラブルや体の疾患に繋がるリスクがあるため、止めさせるように工夫しなければなりません。特にマウンティングは子犬の頃から癖になりやすいため、基本的なしつけのひとつとして対策をしてみてくださいね。
文・監修:PECO
引用:Honda Dog